-- 今の皆さんが「ANOTHER STARTING LINE」と発することにすごく大きな意味があるし、この歌詞もリスナーそれぞれに当てはまると同時に、お三方の歌でもあるわけですもんね。そんな楽曲が、2016年10月というタイミングに発表されることにも大きな意味があるなと。

難波 そうですね。これはみんなの歌、みんなのストーリーなんですよ。

横山 歌詞には載ってないけど、それを汲むぜってことだよね。「1人ひとりと話はできないけど、わかってるぜ。俺たちだってそうだぜ!」って。

難波 そうだね。

横山 だから、今の自分たちをよく表せた、新しいHi-STANDARDを自分たちで祝うっていう意味では一番いいなと。

-- この曲はMVも制作されますが、MV自体も『MAKING THE ROAD』のとき以来ですもんね。

横山 そうなんですよ。でも実は『MAKING THE ROAD』のときはライブ映像とかオフショットを集めてMVにしたので、ちゃんとした撮影は正確には(『ANGRY FIST』収録の)「THE SOUND OF SECRET MINDS」以来らしくて。

難波 3人で撮るのは19年ぶりだそうです(笑)。

-- 19年て(苦笑)。時空が歪みますね。

横山 歪みますよ、そりゃ。欅坂46の子とか生まれてないですからね(笑)。

-- 新曲としても、そもそも16年ぶりですものね。

横山 リリースは16年ぶりですけど、制作は17年ぶりなんですよね。16年、17年、19年とか、自分たちでも訳わかんないですよ(笑)。

難波 でも、この感じはめちゃめちゃ新しいっすよね。

-- 日本のどの再結成バンドとも違いますし、海外を見渡しても同じようなケースって見当たらないですもんね。

難波 そこなんですよ。だからこそ、これから胸張ってメッセージを伝えられるというか。いろいろ別れがあるかもしれないけど、でも大丈夫だよ、全部つながっていくんだよって思ってもらいたいですね。

-- そのシングルが10月5日(水)に発売。前日の4日(火)に店頭に並ぶことで、ようやくその事実が世に知れ渡るわけじゃないですか。このインタビューの時点では誰ひとりとして知らないわけですもんね。

横山 そう、知らないんですよね(笑)。

-- この感じもハイスタらしくて、なんだか懐かしいというか。90年代には『I DON'T NEED TROUBLE BECAUSE OF…MONEY』や『WAR IS OVER』といった7インチEPを告知なし、店頭のみで限定リリースしたことがありましたよね。当時、レコードショップに足しげく通っていた人はそれに気づいて、いち早く手に入れることができたという喜びがありましたけど、今回はそれとも趣旨が異なりますよね?

横山 そうですね。確かに情景としてはあのEPが浮かんだんですよ。あの頃はそれこそネットもなかったしWEB通販もなかった、みんな情報はお店に行って仕入れてたじゃないですか。で、見つけたら買って、そこから口コミで広まっていく。「わぁ、ハイスタがこんなことやってるよ」っていうことを楽しんでいたというか、それがプレゼントでもあったんですけど、今は時代が違うからそれが通用しないというのもわかるんですよ。僕もよくネットや通販を利用するので否定するつもりはないんですけど、ただこれだけ便利になった世の中でどこまで面白みとして発揮できるのかなというのは狙いというか。僕たちの遊び心としか言えないですね。

難波 あと、音って物質として手に取ることはできないじゃないですか。そんな中でパッケージというのは俺たちのいろんなことの結晶なんですよ。特に今回の作品は手に取ってもらいたいという思いが強いから、こういうやり方になったのかな。

横山 やっぱり俺たち、男なんだよね。俺たちには女の人の“イク”っていうのはわかんないじゃないですか。でも男の人の“イク”っていうのは、明らかに精子を出すことで理解できる。そう、つまり俺たち精子を出したかったんですよ……ん、なんだこれ(笑)。

恒岡 (笑)。

難波 つまり俺たちの精子を手に取ってもらいたかったんですよ(笑)。手に乗せてもらいたいんですよ(笑)。

横山 難ちゃんが乗っかっちゃったよ(笑)。

難波 そこはバーチャルじゃ気が済まなかったんですよね。ハイスタって特に口コミや人とのつながりを大事にしていたので、もう一回それを確認したかったというのがあったんですよ。

横山 そう、口コミ。今の世の中の口コミってどういうものなんだろうっていうのをね。