横山 ……と、ちょっとした思い出話になっちゃいましたね(笑)。

恒岡 スタジオでは大体こういう話ばかりしています(笑)。

横山 これで4時間ぐらいね(笑)。

難波 とにかく、僕たちは東北のことを忘れてないですから。それをこのツアーで伝えたいです。

-- そして『AIR JAM 2016』ですが、今回は過去2回とも違ったバラエティ豊かなメンツになりましたね。以前の『AIR JAM』を踏襲するんじゃなくて、新しい、今のハイスタだからこそのラインナップな気がします。

難波 ここも今の『AIR JAM』を作るというのがテーマですね。

-- 健さんがコラムにも書いてましたけど(参考:http://www.pizzaofdeath.com/column/ken/2016/06/vol94.html)、地震とは関係なく偶然福岡を選んだんですよね。

難波 そう。これもドラマだよねぇ。

横山 すごいなと思います、このタイミングに。

難波 順番としては逆だったんですけど、でも九州に元気になってもらいたいという思いには変わりないので、届けたいですね。

恒岡 去年のライブ3本をやる前に決めたんだっけ。あれ、途中?

横山 えっと……やろうって話したのはもっと前だけど、本格的に「これ、できるんじゃない?」ってなったのは、あの3本をやってからだよね。じゃあそれまでにレコーディングして……。

恒岡 新曲を持ってやろうよと。

-- 「新曲があるハイスタのライブ」、本当に楽しみです。

難波 僕らも楽しみなので、みんな歌えるぐらい聴き込んできてほしいですね。

-- ここまで動くとなると、2017年がどうなるのかも気になるわけです。もちろん皆さんそれぞれの活動もあるので、そことうまく調整しつつということになると思いますが。

難波 そういう意味では、さらに新しくなるんじゃないですかね。この活動の仕方が今のハイスタ。20代、30代のときとはまたちょっと違う感じになると思います。

-- 逆にこのスタンスだからこそ、皆さんが楽しみながら活動できるというのもあるでしょうし。

難波 それは間違いないと思います。特に健くんはそこをすごく意識してきたじゃないですか。Ken Bandとして自分たちが継続してきた世界がHi-STANDARDが始まることでどうなるんだろうかと、すごく意識して発信してきた。でもこないだ健くんがライブで「Hi-STANDARDが自分の中で存在することが100% OKになった」と言ったっていうのを聞いて、ああ融合できたんだな、自分の中で整理がついたんだなと思ったんですよ。

横山 僕たちが2011年にまた集まり始めたとき、気持ちの中でハイスタをどこに置けばいいのかっていうのはすごく悩みました。特に僕と難ちゃんはバンドを持っていて、自分でメンバーを集めて始めたぶんの責任があるじゃないですか。そことハイスタをどう棲み分けしようかと。それぞれのバンドはもちろん一生懸命やるとして、その上にHi-STANDARDっていう別の生き物みたいなものを作れないかっていう話を難ちゃんとよくしてたんです。

難波 運命共同体ね。

横山 そう。かつてはHi-STANDARDが100%を注ぐ場所であって、ハイスタ以外にはそういうバンドはなかった。でも今はそれがKen BandだったりNAMBA69だったりして、そのスタンスを変えずにハイスタの在り方をどう捉えようかって話してたんだよね。それが5年かけてようやく実現したなっていう気がするんですよ。

難波 これからも模索するんでしょうけど、とにかく今は “ANOTHER STARTING LINE”って感じですね。

横山 間違いないです。それにしても、僕たちは今しゃべってることを、数年間しゃべれずにいたわけでね。ずっと黙ってなきゃいけなかったから、やっとこうやって吐き出せるわけですよ。

恒岡 俺は「本当に出るんだ」っていう実感が、このインタビューが始まる前より今のほうが強まりましたね。さまざまな感情が沸々と。

難波 普通はMVを作ります、雑誌でインタビューを受けますってやるわけじゃないですか。でも今回の僕たちは音が優先。それって僕たちにとって一番のプロモーションなわけですよ。「これが今の僕たちの音です」って。そこを最優先できるのってシブいなって思うよね。

横山 シブいね、パンクロックだね。事前の仕込み……まあ、情報が出ないようには仕込みましたけども(笑)、何をセットアップしてどういう露出をしてというのが一切ないですからね。このインタビューとMVを撮るだけですから(笑)。

恒岡 それこそが、今回のタイミングでしかできないことだしね。大袈裟に言ったらチャレンジなのかもしれないし。

難波 音以外のことで一切判断させないわけですからね。これが2016年のHi-STANDARDなんだなと思います。

INTERVIEW BY 西廣智一